(最終更新日: 2023年7月24日)
海・川レジャーにおける注意点として、資料作りました。
毎年のようにニュースになる、海での水難事故。
私の近所でも、こんな事例が。
◆マリンスタジアム前 幕張の浜
千葉・幕張の浜で不明の男性 2日夜、遺体で発見 友人と海へ飛び込みか(千葉日報オンライン) - Yahoo!ニュース
幕張の浜、3年続けて高校生死亡 千葉県、フェンス設置検討 救助ボランティア「海の危険性教育」 | 千葉日報オンライン
高校生4人が溺れた幕張の浜 ここで水難事故が続く謎 水難事故調レポート(斎藤秀俊) - 個人 - Yahoo!ニュース
◆箱根駅伝の平塚中継所付近 虹ケ浜
中学2年男子が溺れて死亡 平塚・金目川河口近くの海岸 | 事件事故 | カナロコ by 神奈川新聞
◆市川市の最果て 二俣新町先の市川市東浜
不明男性の捜索続く 市川水難事故 (2015年6月30日)
男性の死体発見 不明の中国人か 市川沖 (2015年7月1日)
【速報】貝採り中に溺れたか 姉妹とみられる2人死亡 船橋・三番瀬 周辺に注意の看板も | 千葉日報オンライン (2022年6月2日)
死亡事故の後に、こんな怖い看板が設置されました。(市川市東浜)
東浜は成人による貝の密漁のようですが、他は中高生の溺死。プール感覚で入水しちゃうのか、何なのか。
政府広報オンラインのこちらの情報では不十分に感じ、競技審判(私は一応千葉県トライアスロン連合の公認審判員です)としても、小学校の先生や小さい子供を持つ親御さんに、ぜひ水難事故防止のための正しい教育をしていただきたくて書きました。
なお、最下部に川のことも少し触れていますが、川は海よりも遥かに水難事故リスクは高いです。 必要な知識やテクニックも変わります。ここでは主に海について触れます。
※遊泳禁止区域での遊泳を推奨する意はありません。
- 必要最低限の装備を揃えてください!
- 背浮きを練習しましょう
- 離岸流(リップカレント) に関する知識も必要です
- OWS(オープンウォータースイム)練習会に参加しましょう
- トライアスロンスイム
- 川はもっと怖い
【検証】溺水事故が多いのは…レスキューが徹底検証
(2024/7/17)
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(2023/7/14)
必要最低限の装備を揃えてください!
・ズバリ、以下5点です!!!
①長袖ウェットスーツ
トライアスリートやサーファー以外には馴染みないかもしれませんが、ライフジャケットではありません。ネオプレンラバー生地の長袖ウエットスーツを着てください!浮力確保のみならず体温確保も目的です。
トライアスロン用だとblueseventy、HUUB等のブランドがありますが、ネオプレンラバー生地であればこういうもので十分です。
身体の締め付け感や、長袖の場合は腕の回しの感覚が変わってくるので、実際に海で使い始める前に慣れておくとよいです。スポーツクラブのプールでのウェットスーツ着用可否は、個別にお問い合わせください。
②オープンウォーター用ゴーグル
視界悪化もパニック→水難事故の原因になるので、当然ながら裸眼で入水はあり得ません。OWS用の視界が広めで曇り止め加工がされているVIEWがおススメ。
③目立つ色のシリコンキャップ
とにかく視認性=目立ってなんぼなので、蛍光イエロー、オレンジがよいです。
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④ホイッスル
背浮きで吹くのです。軽い力で吹けるこれがおススメ。首に下げ、ウェットスーツの中に忍ばせてください。
⑤レスチューブ
携帯の浮き具です。大会では、膨らませた時点でリタイヤになってしまいますが、初心者は携行推奨されていたり、会場でレンタル・即売したりしている場合もあります。
背浮きを練習しましょう
海での最大の敵は「パニック」です。自分で焦って自滅するのです。
・足のつかないところで、怖くなりパニック→水難事故
・ふと我に返り、怖くなりパニック→水難事故
・気づくと陸から遠くまで来てしまい、怖くなりパニック→水難事故
・クラゲ等にさされてパニック→水難事故
・足がつってパニック→水難事故
・急に水温が冷たくなりパニック→水難事故
・水を飲んでしまいパニック→水難事故
・・・
海で力を抜いて背浮きすることを身体で覚えてください。
▼こういうメンタルが必要です▼
一晩に伊東→下田40キロ漂流の男性、無事発見 20時間ぶり「聞いたことがない」 - 産経ニュース
また、学校のプールやスイミングスクール等で、たまにで良いのでエマージェンシー想定の着衣水泳を教えて頂きたい。子供は不意に水場にはまる恐れあり、着衣で水に入る経験をしておいた方が良いと強く思う。
離岸流(リップカレント) に関する知識も必要です
これはよく言われていることで、海上保安庁のサイト 離岸流 で説明十分です。
テトラポット付近
安室奈美恵さんが引退コンサートした宜野湾
こんな状況で泳ごうとする者は居ないでしょうが、波がなかったとしてもテトラポット付近では局所的にこのような強い流れが発生していることが多いので、泳ぐのは絶対にやめましょう。
幕張の浜 3号突堤
斎藤秀俊の水難学 の中で詳しく書かれていますので是非ご一読ください。以下は、実際に私が現場に行って撮影した写真・動画です。
突堤を臨んだ写真です。
突堤を進むとこの看板。
左側の砂浜にも看板が。
左に進むとこの柵が。これより先には進めません。
柵から撮影。
スマフォで撮影した動画です。この時の波は穏やかに見えますが、これが危機感を麻痺させるのでしょう。
市川市東浜
久々に訪れると、手前の看板に続いてこの看板も設置されていました。
映像は満潮時で深そうですが、浅い時は降りて貝を取っている人も居たりします。
OWS(オープンウォータースイム)練習会に参加しましょう
海で1人での練習は危険が伴うので、1人でも参加可能な、貴重な練習会を紹介します。
オーシャンスイムレッスン おんじゅくDE元気
(2018/8/26)
これまで5連続悪天候で中止でしたが、最終回2018/8/26(日)は天候に恵まれ開催!
なかなかよいところでした。
9:30クアハウス内事務所(JR御宿駅から徒歩圏内)に集合。駐車場には余裕あり。
参加40名程度。売店にはサメ除け(磁器を出す)のバンド、レスチューブも販売。
9:40にブリーフィング後に移動、10:00~11:30まで海でレッスン。
海は透明度高く、きれいです。浅いところはワカメだらけ。
内容
・過呼吸時の対処(背浮き、立ち泳ぎ)
・敢えて沈んで手で砂を掴む練習
・1ストローク毎に両手を前で合わせ、左右で息継ぎする練習
・ヘッドアップ(前で息継ぎするのではなく、見るだけ)
・強弱をつけて泳ぐ練習(第1ブイ、第2ブイの間を強めに)
昼食は、事務所から500m程離れた白鳥丸水産で定食。観光客価格ですが、美味。ご販おかわり自由で、3杯いただきました。土産屋も建物内にあります。
午後は波が明らかに高くなりました。
この中を、250mを3往復の1.5kmタイムトライアル。(13:30~15:00)
とは言っても計測はスタッフが帽子のNo.を見て計測いただく、純アナログです(笑)
コーチがレッスン初めに説明された、「オーシャンスイムは最初の数分が一番ポイント。そこを乗り切れば普通に泳げます」に全く同意。基本に忠実な、よいレッスンでした。また参加したいと思います。
(真ん中の黄色いパッケージのが携帯浮き具RESTUBE)
OSJ練習会
(2017/3/19)
・海での練習
・ウエット着用での練習
・テクニック(ヘッドアップの息継ぎ)
最寄はJR鎌倉駅です。
POWER SPORTS | OSJ湘南クラブハウス「スケジュール」
シャワーも完備しています。この時はまだ3月の曇りの日、水温14度で、泳いでも泳いでも身体冷える。。海出てからシャワー浴びるまでの道がものすごく遠く感じ、暫く震えが止まりませんでした。
これらステップを踏んで十分セルフコントロールできるようになってから、自己責任で海で遊泳してください。逆に、この程度の準備せずして安易に海に入らないこと!!!
ここからは、トライアスロン競技としてのスイムです。
トライアスロンスイム
トライアスロンで一つ障壁となるのが海でのスイム。トライアスロンに出場する人は少なくともプールでの練習はすると思いますが、プールでの練習がそのまま活かせないのが海でのスイムです。
私も20℃以下の冷たい水で、潜水反射によりスタート直後に心拍数が急に上がってパニックになったり、(2011年10月横浜シーサイド、2014年5月横浜WTSにて20℃以下の水温のレースを経験)スタート直後のバトル(=手足がぶつかって自分のペースで泳げない)で怖くなったり、と言った経験があります。
ズバリ
・定期的に海で練習する機会を持つ。(練習会の参加を推奨)
・ホイッスルを携帯する。(更に不安な人は、レスチューブも)
・最初の数分は落ち着いて、自分の泳ぎに集中する。
(最初の数分乗り切れれば大丈夫)
・マリオの水中面のBGM等、自分が落ち着ける曲を思い浮かべながら泳ぐ。
・会場では必ず試泳する。
・スタート前に心拍数を上げておく。
順に解説します。
・定期的に海で練習する機会を持つ。(練習会の参加を推奨)
上で説明した通りです。
・ホイッスルを携帯する。(更に不安な人は、レスチューブも)
上で説明した通りです。また、水温が冷たい(20℃以下が目安)時に備え、長袖ウエットスーツ、2枚重ね用のスイムキャップ、ホットクリームを準備しておきましょう。
ここまでは事前準備で、ここからは当日の注意点です。
・最初の数分は落ち着いて、自分の泳ぎに集中する。
これに尽きます。スタート直後なんですよね。密集で皆が進んでいく中、自分だけ取り残された感じがして我に返って怖くなった、密集の中で他の選手の足が自分の脇腹にヒットした、苦手な息継ぎの方で波が高くなった、水温が思ったより低い、等、管理された環境でもプチパニックが発生するのは。
始めの数分を落ち着いて自分のリズムに乗れるかどうか、本当にこれに尽きます。
・マリオの水中面のBGM等、自分が落ち着ける曲を思い浮かべながら泳ぐ。
(引用元: 737guamさんyoutube)
何でもいいんですが(笑) とにかく、自分の世界に入ることが大切です。
・会場では必ず試泳する。
水温、波の状態、そして自分の体調の確認が目的です。スタート数分前にしか入水できない大会もありますが、それでも必ず入って確認しましょう。
・スタート前に心拍数を上げておく。
方法としては試泳でもよいし、 スタート前にその場ダッシュやジャンプなどでも。そして最後に、全身に力入れて脱力、を繰り返しましょう。
・パニック対策の引き出しを持っておく。
いざとなったら平泳ぎ、立ち泳ぎ、背浮き、ブイにつかまって休む、何でもいいんです。やり過ごす引き出しを持っていれば大丈夫です。
日本泳法という、疲れにくい横泳ぎの泳法もあります。
(引用: 慶應義塾大学体育会葉山部門youtube)
川はもっと怖い
公益財団法人 河川財団のこの資料がよくまとまっているので、熟読ください。(特にpage10,11のエントラップメントあたりは絶対に知識として持っていてください)
https://www.kasen.or.jp/Portals/0/pdf_mizube/mizubehandbook2018-1.pdf
こんな記事も。
海との違いは、
・水質的に浮きにくい
・水温が極端に冷たいところがある
・浅くても溺れる危険因子(障害物=エントラップメント)が海に比べ遥かに多い。
ということです。私も岩手県の一級河川 砂鉄川 - Wikipedia にて小さい頃怖い思いをしました。川は海よりも危険です!!!
繰り返しになりますが、斎藤秀俊の水難学 を熟読ください。